読むとクスッと笑える美容師出口寛之のブログ

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掌編小説11th[とある美容室での会話]

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「さあ、今日はどうされましょうか?」

「お任せで」

「かしこまりました」
 

 

僕がいつも行っている美容院は、行き始めてからもう10年になる。

世間一般でいうところの常連だ。

毎年新しい子が入ってきて、それを楽しみにしていたりする。
 

 

そんな中、面白い会話が聞こえてきたのでここで紹介したいなと思う。

 

 

 

 

そうだな。あれは先月のこと。

 

「得意なこととかあるんですか?」
 

 

美容室での何気ない会話。

僕はカラーを置いている時間だったので、はっきり言って暇だった。

なので、自然と聞こえてくる会話に自然と耳が傾く。

 

「うーんそうですねー」
 

 

初めて見る女の若い美容師さんは、少し悩んだそぶりを見せた後、こんな風に答えた。

 

「鉄棒、ですかね」
 

 

鉄棒、だと。

得意なことといえば例えば料理とかスポーツとか編み物ですーって答えるものじゃないのか?

 

いや待てよ。

 

鉄棒も一応スポーツに入るのか? 

体操で競技には入ってるし。

 

「鉄棒が得意なんだ。ずっとぐるぐる回ってるの?」

 

「大体、そうですね」
 

 

うーんと考えるそぶりを見せながら話をする女性美容師さん。

 

「休日も回ってるの?」

 

「はい、大体」
 

 

休日も回ってるのって聞く人も大概だが、答えるあんたも大概だよ。

休日も回ってるんだーふーん。

でもあれなんだろうな。

 

 

「前回りしかできないんですよー」とか言って可愛い子ぶり、お客さんのハートを射止める作戦だな! 

 

そうだろ。

10年通っている僕にはお見通しなんだよ!

 

「どんな技が得意なの?」

 

「まあ、基本的には前回りですね」
 

 

ほらきた! かわいいポイント来るよー!

 

「あとは大車輪とか得意ですねー」
 

 

はいさらっとすごいこと言いました。

お客さんしれっといったからあんまり反応できていないけど、あれは確実に驚いてる感じだよ。

ほら表情が変わってきたよ。

 

「お客様も、鉄棒好きですか?」

「あ、はい」
 

 

もうお客さん対応しきれていないよ! 

 

大車輪ができる子に「私嫌いなんです」とかよく言わないよ。

 

「月曜日だったらどこかで回ってると思うので、探したら見つかっちゃうかもしれませんね」 

 

その一言で彼女はお客様に

「少々お待ちください」
 

と告げて、その場を去った。

 


 

 

 

 

 

という話があったんですけど、どうでしょうか? 

と担当美容師さんに告げる。と、

 

「それってあの子じゃないですか?」
 

 

指を指されてみた先には、独特の雰囲気を放つあの子が。

 

「お気に入りなんですね」
 

 

そ、そんなことないやい! 

 

とか僕は言いつつも、いつの間にか僕はあの子を指名していた。 

それは彼女が髪の毛を切れるようになるまで続く。