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読むとクスッと笑える美容師出口寛之のブログ

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掌編小説9th[雪合戦]

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「よし、雪合戦をやろう」
 

 

唐突に僕の親友石井君が言い出した。

 

「いいな! それやりたい」
 

 

と、給食の時にかならず牛乳三個飲む中庭君も賛同する。
 

 

僕も面白そうだったので参加することにした。

 

で、バランスが悪いとのことでもう一人入れることになったのだが、

 

「わ、私でいいの?」

 

「「あなたしかいらっしゃいません」」
 

 

僕の親友でオタクのくせにコミュニケーションのある石井君と、牛乳の中庭君は声をそろえて言った。
 

 

彼女は我妻さん。

 

この学校で、というか日本を飛ばして世界で一番かわいいのではないかと言われているくらいの美少女だ。

 

そんな彼女が入ってくれた理由はたぶん

 

「あんたと遊びたくはないけど、雪合戦はやりたいからはいるわ」
 

 

幼馴染だからであろう。

なんだかいつもこんな感じで突き放すような言葉を放ってくるけども。

 

「よし、じゃあ、じゃんけんでわかれようか」
 

 

そう言うと、親友石井君と牛乳中庭君は入念な準備体操を始める。

 

こんなに寒いのに、湯気が出るほどに。

 

「必ず我妻さんと一緒になる一緒になる一緒になる一緒になる一緒になる一緒になる」

 

「我妻さんの牛乳が飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい」
 

 

石井君の発言はまだ許せるのだが、牛乳中庭君の発言は聞き方によってはかなり危ない発言のような気がしてならない。

 

「よし、いくぞ。じゃんけん!」

 

 

「なんでよりにもよってあんたと一緒なのよ」
 

 

それは神様に聞いてください。
 

 

それよりも、相手からの殺気がすごい。

しかも僕にだけ向けられている。

 

「よし、ルールは簡単。相手に三回当てたら何をしてもいい。いくぜ!」
 

 

ちょっとまて三回当てたら何をしてもいいってなんだ。

 

お前らなんだその欲望にまみれた表情は。
 

 

 

そして勝手に始まった雪合戦。

 

不意を突かれた僕は早速一発当たってしまう。

 

なので、即座に作っておいた壁に避難する。

 

「もう始まったのね。じゃあ、えい!」
 

 

我妻が小さい雪玉をふんわりと投げる。

女の子らしく。
 

 

それを中庭君は口でキャッチした。

 

「我妻さんの味がする。ぐふ」
 

 

とりあえず中庭に全力でぶつけておいた。
 

 

もう一回ぶつけ、ひん死状態にまでもっていく。

すると、脇からの石井君の攻撃に被弾。

僕は身動きが取れなくなってしまう。

 

「あんたもうだめじゃない! 隠れてなさい。私の球を作って」
 

 

雑用に回ることになった僕は、横からの攻撃に気を付けながら球を生成していく。

 

我妻の攻撃はなぜか100パーセント被弾。

 

なぜ? いや待てよ。

よく見るとあいつら被弾しにいってやがる。

馬鹿だ完全に。

 

「我妻さんの攻撃が全体に染み渡る」
 

 

牛乳中庭君はアウト。
 

 

石井君も残り二回。

と、ここで僕は気づいてしまった。

 

「我妻、耳貸して」
「な、なによ」
 

 

耳打ちした内容に若干の驚きと照れを見せた我妻は、壁から出てあちらサイドへと近づいていく。
 

 

石井は思った通り、近づいてきた我妻に驚き、動けなくなってしまう。

 

「ねえ、石井君」

「な、なんでしょうか?」

「私を、見て」
 

 

そうしてゆっくりと接近していく我妻と石井。

 

石井は死にそうだ。
 

 

とここで、僕はサイドから一発石井の腹部に向かって投げる。

ヒット。そして最後。

 

 

「おしまい」
 

 

我妻の雪を握りこんだ顔面グーパンチで勝負あり。

 

「私たちの、勝ちね」
 

 

ああ、もはや雪合戦でもなんでもなかったけどな。

 

「本当にそうよ。あんなことやらせるなんて。後であんたも殴る」
 

 

そう宣言された俺は冗談だと思って帰ったのだが、きっちりと顔面に一発もらった。

 
 

 

 

のちの話で石井はこう語る。

 

「女神がいた」と。
 

 

牛乳の中庭君はこう語る。

 

「僕の中には我妻さんが入っているんだ」

 

と。
 

この二人は大切にしていこうと思った。