読むとクスッと笑える美容師出口寛之のブログ

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掌編小説8th[アプリケーション]

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「ねえ、これって最近はやりのknowじゃない?」

 

「そうだよー 写真撮ろう!」
 

 

そんなカップルを、僕は暇だから観察していた。
 

 

世はクリスマス。

 

みんな浮かれてるけど、一人の人の誕生日だからな? 

言ってしまえばただの平日だからな?
 

とか思いながら、僕はチョコをポリポリ食べていた。

クリスマスに彼女からもらったという設定で。

 

「はいチーズ! 素敵」

 

「君はこんなアプリ使わなくてもかわいいよ」
 

 

爆発しろと思った。

 

「ねえねえ、どこか食べに行きたいなー 」

 

「じゃあ僕が調べるよ」

 

「あ、そのアプリはコットペッパーグルメだね。それも使ってるんだー」

 

「そうなんだ! 便利だし。ポイントもついてお得だからね」
 

 

その辺でラーメンでも食ってやがレこのへたれやろう。

 

「あ、ここのパンケーキおいしいみたいだから行ってみようか? 食べるよログでもランク高いし」

 

「そうだね!」
 

 

そうして二人は歩き出そうとするが、

 

「道はどっち?」
 

彼女がそう聞くと、

 

「うーんちょっと地図の読み方がわからないな。ガーグルマップで検索してみるよ。ついでにririでも聞いとくわ」
 

 

彼氏は機械を駆使し、こっちだよと言って案内し始める。

彼女はそれについて行く。

もちろん僕もついて行く。暇だし。

 

「最近このアプリおもしろいよ。ゲームも出来るし。あ、あとこれも。お店の混み具合とかも検索できるんだ。あ、後コンパスも結構使うよね。後はブログ投稿アプリとか、クーポン発行してるアプリとかも使いながらだと結構生活って便利だよな!」

 

「それは違うと思う」
 

 

急に彼女の方が立ち止まった。

どうしたんだ? と触ろうとする彼氏の手を振り払い、彼女は静かに感情をぶつけ始めた。

 

 

「あなたはアプリに支配されすぎですね。アプリがないと何にも出来ないの? 道なんて何度もきてるんだからわかるでしょ? 方向音痴なの、あなた。何でもかんでも調べようとするな。人に聞け。だからいつまでたっても人間関係を構築できないんだろうが」

 

「ちょ、ちょっと待って」
 

 

彼女の反抗を何とか食い止める彼。

おもしろくなってきた。

 

「確かに僕は何にも出来ないし、いろいろなものにも頼るからそうやって見られてもしょうがないかもしれない。でも、でも! 僕は君のことが好きだから!」
 

 

そう言って彼は彼女を抱き寄せる。

彼女は彼氏の名前を息をするがごとく吐き、

 

 

「なめんなよてめえ」
 

 

超高速至近距離ボディーブローを放った。

 

「かはぁ」
 

 

放たれた彼はその場でうずくまり、彼女の方を見上げる。無表情だった。

 

「それもアプリだろ」

 

「……ぇえ?」
 

 

そう言って彼女は一つのアプリを彼の顔面に突きつける。

 

【ドキドキ! 彼女の気をなだめる言葉ランキング!】

 

「さっきの言葉、第一位だったわ。おまえがこれを持っていることは前々から把握してたんだよ」

「 そ、そんな」

 

「じゃあね。あなたとはもう一生会うことはないでしょう」
 

 

 

そう言ってその二人は別れた。

彼の敗北によって。
 

 

いやー良いものを見せてもらった。

 

これで家に帰っても何とかなりそうだな。

良い暇つぶしになった。
 

 

嗚呼、彼女ほしい。
 

 

そうして僕は寂しい背中を見せながら帰路についた。