読むとクスッと笑える美容師出口寛之のブログ

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掌編小説7th[回転すし]

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あの皿がほしい。

僕はそうずっと思っていた。
 

 

今年、全国的に300店舗ほど展開している大手すしチェーン「やっぱ寿司」の30周年特大イベントが行われている。
 

 

だが、このイベントは何をしているかまでは情報として公開されていない。

 

イベントが行われているはずなのにイベント内容を公開しない。

やっぱ寿司の粋な計らいってやつか。
 

 

でも俺は、最新機器スマートフォンを駆使し、一つの情報を手に入れていた。

 

やっぱ寿司の幹部が、一部情報をとある情報サイトに間違って一瞬だけ流してしまったらしい。

 

それをたまたま拾った人が情報として再度流してくれたのだ。

 

だが、その情報も何者かによってすぐに消されたらしい。
 

 

信ぴょう性に欠けたが、すぐに消されたともなると信じてもいいのかもと思ってしまう。

 

嘘の情報ならば、そのままにしておくはずだからだ。
 

 

だから俺は、やっぱ寿司に入店する。

 

「いらっしゃいませー!」
 

 

 

店内から活気のある声が響き渡る。

 

後に続いてほかの店員さんも返してくれる。
 

 

俺はここの接客が好きだ。

 

みんな笑顔だし、かわいいし、かわいい。

 

職人さんのネタを乗せるさばきは完璧だ。

 

自動で生成されるシャリに一寸の狂いもなくおかれる。

 

「何名様でしょうか?」
 

 

一名とだけ答えて店員さんが

 

「ご案内しますね」
 

 

と言って俺をカウンターに誘導しようとする。

 

だが俺はここで、ネットで見た例の言葉を口にする。

 

金のつぶ、カモーン!】
 

 

俺はやばい奴だと思われたのだろうか? 

 

お客さんで気づいた人もこちらを向き、何事かと身構える。

 

「お客様、どうされましたか?」
 

 

ほら、バイトっぽい子に不思議な目で見られてるよ。

 

ああどうしよう、噂だったのかなー 怖いなー こっからどうしよう。

 

「ちょいと待ちな」

 

「店長!」
 

 

バイトの子が目を輝かせてみているのは、おそらくここの店長だと思われるがタイのいい男である。

 

腕っぷしが強そうで、けんかをしたら一瞬で負けてしまうだろう。

そのくらいのオーラを放っていた。

 

金のつぶ、案内してやるぜ」
 

 

そう言われて俺は、一番奥の席を超えて厨房に入り、その奥にある謎の部屋に連れてこられた。

 

「お前がなぜその言葉を知っているのかも知らないが、知っているのなら仕方がない。やろうか」

 

 

な、なにをするんでしょうか? 

腕をまくり上げているところを見るとけんかだろうか。死ぬ。

 

「なにビビってんだよ。さあ、始めるぞ」
 

 

そう言って目の前に、床からすしの流れるレーンが現れた。

 

 

「これが今回の特別商品だ」
 

 

そう言って見せてくれたのは、あの伝説の皿。

 

【やっぱ皿】だ。

創業当時、100枚だけ限定的に作られてプレミアの価値がついている皿で、僕がやっぱ寿司のファンになってからめちゃめちゃほしかったものである。

 

純金らしい。

輝きが著しい。
 

 

その皿はレーンに置かれ、高速回転を始める。

 

 

「このサラダを完食してこのお皿を取ることが出来たならば、お前にこの皿をやろう」
 

 

そのサラダは、創業当時からわずか二年で人気をなくしてしまったという伝説のサラダ【やっぱサラダ】

まずいらしい。

とにかく。

 

苦みがどうとかすっぱいとかそういった類ではないらしい。

 

 

「食べることが出来なければ、お前はここで一日働いてもらう」
 

 

よし、いけるな。

このやっぱサラダを食べることが出来れば俺は100万の値打ちがつく皿を手に入れることが出来る。
 

 

いただきます!
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして口に含んだ瞬間、僕はなぜか働いていた 。

 

 

 

口に含んだ瞬間、僕は意識を失ったらしい。イコール食べれなかったから働く。
 

 

ものすごく忙しかったが、なんだかんだ憧れのやっぱ寿司で働けたのは好都合だったと思う。

 

「また、挑戦してくれよな」
 

 

 

店長にそう言われ、店を後にした。

 

 

 

 

 

 

 


 その後聞いた話なのだが、やっぱ寿司はなにやら経営難に陥っていたらしい。

人件費を削るために、わざと情報を流してやっぱサラダを食べさし、無料で働かせる。

全くできた話である。
 

 

なので、半年の経営ストップが言い渡されたとニュースで見た。
 

ネットで見てみると。

「あのイベントがどうたらこうたら以降、無銭で働かされた。殴られた」
 

 

などの書き込みが多数を占め、こういうことになってしまったらしい。
 

悪いことはしてはいけないなと、道にガムを吐きながら思った。